オレはテレビが幼稚になっていると感じてもいる

 もちろん、テレビ局が若者を狙いたいって考える、その気持ちは分かるけど、それと若者向けだと思い込んで、幼稚な番組を作ることとは違うはず。言葉は悪いけど、オレはテレビが幼稚になっていると感じてもいる。

 それってテレビの将来にとってどうなんだろうって、自分で自分の首を絞めることになってしまうんじゃないかって、最近は毎日、考えますね。

 なので、我々が時代を受け入れて理解して、どんな番組を作っていくべきなのか、正解にたどり着くには、まだ時間がかかると思う。逆にオレが小さい頃に夢中になっていた『シャボン玉ホリデー』みたいな、コント、歌、トークを交えた古き良き番組って、今の若い世代って見たことないだろうし、知らないだろうから、楽しんでもらえるんじゃないかなって思うんだよね。三谷幸喜さんが『刑事コロンボ』を知らない若い子たちを騙して、『古畑任三郎』をヒットさせたようにね。まあ、あそこまであからさまじゃなくてもいいけど(笑)。

 ただ、三谷さんとは、ケンカをするけど、好きなものはほとんど一緒。ああいう才能のある人と頑張っていけば、まだまだテレビで面白いものが作れる気がするんだよ。

 テレビがしっかりと面白いものを提示すれば、どの世代の視聴者だって、食いついてくれるんじゃないかって。かすかな希望は持っています。もう少しすれば……という漠然とした言い方になっちゃうけど、なんかチャンスはあるような気がするんだよ。むしろ、そう思っていなければ生きていけないよ(笑)。

(つづく)

太田光(おおたひかり)
1965年5月13日、埼玉県出身。1988年、日本大学芸術学部演劇学科で知り合った田中裕二とのお笑いコンビ『爆笑問題』としてデビュー。以降、お笑いタレント、司会者、作詞家、文筆家、川柳作家として活躍の場を広げる。

『芸人人語 旧統一教会・ジャニーズ・「ピカソ芸」大ひんしゅく編』
朝日新聞出版1760円
安倍元首相銃撃事件、旧統一協会、ジャニーズ問題、ロシア・ウクライナ戦争、ハマスとイスラエルの衝突……話題となった出来事から人間の未熟さ、弱さを見つめ、世の中の深層をさらにえぐった論考集。