「菜々緒さんで実写化して欲しい」という声も

 原作コミックでの鷹野ツメ子はスマートな身のこなしで自信に満ちた振る舞い、落ち着いた声でどこから見ても有能オーラが半端ではない。実際、原作コミックのファンからは「菜々緒さんで実写化して欲しい」という声もあったという。菜々緒さんも読み進めていくうちに、これは単なるお仕事コメディではないと思ったそうだ。

 主人公・鷹野ツメ子のルックスはコミックから飛び出してきた菜々緒さんそのものという感じである。菜々緒さん自身も鷹野とのリンクには嬉しさを感じたとか。しかし、物語を読み進めていくうちに様相が変わってきた。

「ほんとに最初から最後まで、鷹野がずっと変わらずに無能というところがすごく斬新だなって思ったんです。お仕事モノって、仕事の出来ない主人公が切磋琢磨して出来るようになって成長するようなサクセスストーリーや、もともと出来る人たちがプロフェッショナルに色々な事件や事故を解決していくものが多いかと思うんですけど、今回に関してはほんとに主人公の鷹野が最初から最後まで無能で成長しないんです。そこが新しいし、今の令和の時代だからこそ、みんなが自分らしく生きていくということがすごく大事かなとも思うんです。だからこそ、このタイミングでこういうお仕事コメデイが放映されるのは色んな意味で転換期みたいなところに差し掛かっているんじゃないかなってすごく感じました」

 その後、台本を読んだ時に”不安“を感じたこともあったとか。

「原作が面白いからこそ、これを生身の人間がお芝居で表現した時にテンポ感や間とか、コメディ要素の塩梅などを上手くやっていかないと、原作の良さが伝わらなくなってしまうんじゃないかなとか、世界観が崩れてしまうんじゃないかなって思ったんです。そこが私はすごく心配だったのですが、クランクインの前に、鷹野が所属する営業部のメンバーでリハーサルをすることになり、その時間のおかげで地固めが出来て良かったです」

 菜々緒さん自身は鷹野ツメ子についてどんな人物だと感じているのだろうか?

「自分の世界だったり、自分自身をすごく大切にしているなって印象があります。周りの社会とか世界に流されずに自分の軸を持ってブレないところは、仏教とか禅の道を行っている様なすごさを感じて尊敬すらしてしまいます。普通の人だったら他人の目を気にしたり社会の流れに乗っていかないといけないと思ってしまうことが多いですが、鷹野はそういうのを全部無視して、自分自身を楽しんで生きている。そんなところに原作コミックのファンは清々しさを感じるんだろうなって思ったんですね。そこに後ろめたさとかを感じていないからこそ、彼女はその世界で成り立っているし、違和感無く生きていけるんじゃないかなって思いました」