9月25日に昭和以降最速となる初土俵から所要9場所での大関昇進を果たした大の里。身長192cm、体重182kg、石川県津幡町出身の24歳。小学校を卒業後、親元を離れ新潟県の中学に“相撲留学”、その後日体大に進学し「アマチュア横綱」に輝くなど数々のタイトルを獲得した。大相撲に幕下付け出しデビューからまだ1年半ほどで優勝2回、大関まで駆け上がった。まぎれもなく、いま最も注目されている力士である。大の里泰輝のTHE CHANGEとはーー。【第3回/全5回】

大の里

 12歳、小学6年生で、他県への「相撲留学」を決意した大の里こと、中村泰輝少年。

「家族の思いを背負って、相撲に賭ける」という思いは、中学生の泰輝をつねに奮い立たせていた。

 糸魚川市立能生中学相撲部は、新潟県立海洋高校相撲部へと続いている。生来の明るい性格から、相撲部の寮では「大きな」先輩たちとも、ほどなく打ち解けて、寮から中学校に通う日々が始まった。

 朝6時起床。寮から徒歩で3キロの中学校での勉強の後は、相撲の練習が待っている。毎日50番以上、多い時には100番の相撲を取る。

 一般的な少年では耐えられないであろう、自由時間や休日のない寮生活を送りながら、泰輝の心が折れなかったのは、「学校が楽しかったから」。中学校の同級生たちと過ごす何気ない時間が、泰輝にとって息抜きになっていたのだ。