ミュージカルオタクになっただけ…
ーー具体的になにが衝撃だったんですか?
「その時の気持ちは、今でもよく説明できないのですが、ただ“あれになりたい!”と無我夢中でした。たとえば、小さい子が仮面ライダーになりたいと思うのと同じ感覚だったのではないでしょうか。”将来の夢は俳優です!“ ではなく ”将来の夢はルドルフ!“といった感じで。毎日、一人『エリザベート』をやっていたのですが、さすがにわんぱくな少年も、日が経つにつれて”このままじゃルドルフにはなれないな”と気づき始めました。笑」
ーー次になにをしたんですか?
「これも自分でも不思議なのですが、『エリザベート』の時代背景を学ぼうと、図書館に通ってハンガリーの歴史や過去の出来事を調べ年表を作ったり、内面からルドルフに近づこうとしていました。が、またしても途中で “待て、これじゃルドルフになれない!” と気づき、内面ルドルフをやめました(笑)。ただ、歴史的背景や関連作品を調べていくうちに、他にもたくさんの舞台があることを知り、おかげで多くの舞台作品を観るようになり “ミュージカル俳優になればルドルフになれる!” と思い始め、俳優への夢が少しずつ芽生えていきました」
ーー少しルドルフに近づきました。
「なぜか今度はミュージカルについて深く調べ始めました(笑)。 探究心が強かった僕は、ミュージカルの歴史を頭に叩き込み脳内に年表を作るほど、なによりもミュージカルに夢中になる日々を過ごしていました。
中学生になると、近所の舞台に詳しい方から “ミュージカルをやりたいならバレエを習うといいよ” とアドバイスをもらい、それをきっかけにバレエを始めました。しばらく通っていると、講師からコンクールに出るように勧められましたが、その時ふと ”このままだとバレエダンサーになってしまうのでは” と自分の夢とは違うことに気づき、バレエをやめ、再びミュージカル雑誌やCDに向き合う生活に戻りました。ただ、振り返ってみると、あの時の経験が今も生かされているので決して無駄ではなかったです」