今も四股だけは毎日欠かさず踏んでいます
最近の相撲は、力士の体格が変わりました。大型化が進んで「のこった、のこった」が少なくなりましたね。体力勝負といった感じがします。
新大関の大の里は怖いもの知らずで土俵に上がれていますね。気持ちに穢れがない。師匠の稀勢の里のいいときの相撲を受け継いでいます。“学生出身の大横綱”に近づいてくれると良いですが、対戦相手も研究してきますから、そこでどうなるか。
私の場合、自分が万全な状態で相撲を取れたのは1〜2番くらい。取組よりも、稽古して汗をかいて、“今日は体調がいいな”というときが、一番気分が良かったですね。
最近の私はといえば、これまでの習慣で朝4〜5時には目が覚めるので、日本の歴史など興味のある分野の書物を読んだりして過ごしています。古代ユダヤと日本の神事の関連性など、これがとても面白いんです。
また、ワンちゃんとの散歩も癒やしになっていますね。名前ですか? 「ナナちゃん」と「ニイちゃん」です。2匹がいることで、家の中も明るくなって本当に癒やされます。
これといった趣味はないのですが、ボクシングが好きなので、ユーチューブで過去の試合を見たりもしていますよ。2022年に村田諒太選手とゲンナジー・ゴロフキン選手が対戦した試合は会場まで足を運んで、観戦しました。競技はまったく違いますが、ゴロフキンがジワジワ攻めていく姿勢が、私の相撲の取り口と似ているなと思ったりしましたね。
あと、昔は全然できなかったことを、今やっています。ジャズが好きなので聴きに行ったり。最近は宇多田ヒカルさんのコンサートにも行きました。もともと彼女のお母さんの藤圭子さんの曲を聴いていて、そのお嬢さんですからね。すごい才能を持った方がいるなと思っていたんです。とても楽しかったですね。
今も四股だけは毎日欠かさず踏んでいます。非常に落ち着いて暮らせています。
貴乃花光司(たかのはな こうじ)
1972年8月12日、東京都生まれ。88年、藤島部屋に入門。92年の初場所で、史上最年少の19歳5か月で幕内初優勝。兄・若乃花と「若貴フィーバー」を巻き起こす。94年11月に第65代横綱に昇進。幕内優勝22回。生涯戦歴は794勝で、「平成の大横綱」と呼ばれた。18年に日本相撲協会を退職し、現在はテレビ、講演会等、幅広く活躍中。