野球少年だった鈴木さんの練習相手を父親はよく務めていた。

「自宅には小さな庭があって、父とはよくキャッチボールをやっていましたね。そんなに距離もないのに父は本気で投げてきたんです。ここぞとばかりに。すごく怖かったですよ(笑)」

 父親は鈴木さんにはとても厳しかったようだ。

「兄二人とは同じチームに入っていたのですが、日曜日には父の仕事も休みだったので、試合は必ず観に来ていましたね。兄弟3人が出た試合では、家に帰ると一番上の兄は“今日は良かった、頑張ったな”って褒められるんですよ。で、真ん中は“まぁまぁかな。次、もうちょっと頑張れ”って。で、僕は“お前は何言ってもダメだ”って怒られるんです。普通は逆じゃないですか。一番上が一番厳しくされて、一番下がまだちっちゃいからしょうがないよな……ってなるんですけど、うちの父は真逆……(笑)。すごくしごかれて、怖かった思い出しかないですね。でも野球って、礼儀作法に厳しいところもあるので、そういうところは野球に教えてもらったなって、いま思うとありますね」

半分勢いで受けた「VOCAL BATTLE AUDITION2」

 そんな野球少年時代を過ごした鈴木さんは中学2年で野球をやめることとなった。そして2010年2月に「VOKAL BATLLE AUDITION2」に参加。このことが芸能界に入るきっかけとなった。

「当時、EXILEがすごい人気で、僕もATUSHIさんが好きでしたし、オーディションをタダで受けられるということもあって、半分、勢いで受けたようなところがありましたね。野球をやっていた頃はプロ野球選手になりたいという思いは強かったんですけど、やめてから芸能界に行きたいという気持ちは特には無かったです」

 半分勢いで受けたという「VOCAL BATTLE AUDITION2」だったが、2次審査で落ちてしまう。だが、そこでスタッフからダンススクール・EXPGの誘いを受け、通うことになった。その後、同年8月に行われた「第3回劇団EXILEオーディション」に合格し、俳優の道を歩み始めることになった。

(つづく)

鈴木伸之(すずき・のぶゆき)
1992年10月14日生まれ、神奈川県出身。AB型。T185。2010年、劇団EXILEに加入し、同年に舞台『ろくでなしBLUES』に出演しデビュー。以降、ドラマ、映画、舞台、CMなどで活躍中。主な出演作は映画『桐島、部活やめるってよ』(12年)、ドラマ『あなたのことはそれほど』(16年)、NHK連続テレビ小説半分、青い。』(18年)、ドラマ『GTO』シリーズ、映画『アラグレ』シリーズ、ドラマ&映画『HiGH&LOW』シリーズ、映画『東京リベンジャーズ』シリーズなど。11月27日には初のミニアルバム『Action』をリリース。

●作品情報
土ドラ『バントマン』は毎週土曜日、夜11時40分よりフジテレビ系にて放映中。
https://www.tokai-tv.com/buntman/
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