国民的アイドルグループ「SMAP」から、1996年にオートレーサーへ転身した森且行。翌年デビュー戦で勝利すると、さらにその翌年、新人王に。2020年には40代にして「メンバーとの約束だった」悲願の日本一を達成。しかしそのわずか82日後、生命の危機すらあった落車事故による大ケガを負う。チェンジの連続のような人生。奇跡の復活を遂げ、現在もリハビリを続けながら“6色に彩られた星”が輝くヘルメットで走り続ける森さんが、自ら語るTHE CHANGEとは――。【第1回/全5回】

森且行 撮影/冨田望

「おつかれさまです」

 少しばかり早く現場入りすると、前の取材を終えた森さんが、休憩のために部屋を出るタイミングだった。いち早くこちらに気づき、笑顔で会釈してさらりと前を過ぎていく。大げさでなく、いわゆる“オーラ”と呼ばれるものがある。そこには、多くを経験してきた余裕と強さも漂う。

 1988年に結成され、1991年にCDデビューしたSMAP。1996年、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)が始まるなど、まさに国民的アイドルグループへと駆け上がり始めていた矢先、突如、森さんは「オート―レーサーになる」と脱退した。その決断に誰もが衝撃を受けたが、2020年には日本一の称号を手にする。だが翌年、「もう歩けないかもしれない」と言われたほどの大ケガを負う。

――全国公開されるドキュメンタリーにも収められていますが、2021年の落車から壮絶なリハビリを経て、昨年、レースに復帰しました。命も危ぶまれるほどの大ケガだったと聞いています。復帰へ立ち向かう、大きな励みになったきっかけはありますか?

「中居(正広)くんの言葉かな。“神様は、乗り越えられない人には、試練を与えないんだよ。だから、お前は乗り越えられる”って。“マジか”と。グッと来ましたね。中居くん、すぐに“大丈夫か”って連絡してくれて。そのとき、実は僕、“ダメ”ってひと言打っちゃったんですよ」