戦後では3人しかいない快挙達成
初優勝を遂げた日に生まれた次男・エレムン君は、すでに3歳。初めて見る父の優勝シーンには大興奮したという。
そして、24年九州場所7日目となる11月16日、玉鷲は40歳の大台を幕内力士として迎えた。
この日の対戦は、小兵で動きのいい28歳の翠富士。うるさい相手を物ともせず、翠富士を豪快に押し倒して4勝目をマークした。
40歳を超えて幕内力士を務めたのは、モンゴル出身力士の先輩・旭天鵬らを含めて、戦後では3人しかいない快挙だ。
「人間の体はここまで成長する、できるというところを見せたい。まだまだ成長中なので」
と、あくまで前向きな玉鷲。九州場所13日目(11月22日)には、26歳の朝紅龍を力強い押し出しで破り、勝ち越しを決めた。「快挙」が、また1つ増えた。
「三役に戻って相撲を取るのが、これからの目標です。今場所、新大関・大の里との対戦はなかったけれど、来年はぜひ対戦したい。大の里を一方的に押して勝った力士って、あんまり見たことないでしょう?」
「鉄人」玉鷲の目は、来年1月の初場所を見据えている。
玉鷲 一朗(たまわし いちろう)
1984年11月16日生まれ、モンゴル・ウランバートル市出身。片男波部屋所属の現役大相撲力士。2024年の秋場所で大相撲の通算連続出場回数、歴代1位の記録を更新。スポーツ経験が特に無いまま19歳で相撲を始め、30代から力を付けたという、同世代のモンゴル人力士の中でも異色の経歴を持つ。身長189cm、体重178kg。血液型はAB型。最高位は東関脇。趣味は小物、菓子作り、人間観察。