医療ドラマの金字塔「ドクターＸ」が満を持して映画化され、１２月６日から公開する。ドラマ誕生から１２年、劇場版をもってついに完結を迎える本作で、主人公の大門未知子とは軽口を叩き合いつつも深い信頼で結ばれているフリーランスの麻酔科医・城之内博美を演じているのは、俳優・内田有紀。長年出演してきた作品への思いや、自身にとっての変化「ＴＨＥ ＣＨＡＮＧＥ」、さらには「戦友」と呼べる米倉涼子との関係などを聞いた。【第２回／全４回】
この日の取材にあたり、映画の試写を見たばかりの筆者。つい思いがあふれ「素晴らしい作品をありがとうございます」と内田有紀さんに感想を伝えると「直接感想を聞いたのはまだ２人目くらいなので嬉しいです！」とほほ笑んでくれた。そんな内田さんに、１２年分の作品に対する思いや劇場版での撮影を振り返ってもらった。
――今回の劇場版では、岸部一徳さん演じる神原晶のことで、内田さん演じる城之内博美と米倉涼子さん演じる大門未知子は様々な試練に直面します。内田さんは博美のどのような思いを想像して撮影にのぞみましたか？
「博美は、大門さんと晶さんの背中を支えているようなつもりでいましたので、２人の師弟関係が潤滑になるような、潤滑油の役割のようなポジションを意識していました。彼らの間に割って入るわけでもなく、彼らが心地よく楽しく会話ができて、いつまでもいい関係でいられるような役割でいようと思って演じてきました。
今作では、未知子が崩れそうな時は支え、晶さんが大変な時は彼を支える。それぞれの家族のような気持ちで博美ができることは何かと考えましたし、より一層、彼らを支えるつもりでした」
――晶さんの喜寿をお祝いするシーンがとても温かくて素敵でした。現場の雰囲気や思い出を教えてください。
「あのシーンは、博美と未知子が “晶さん、喜寿おめでとう！”と言ってテンションが上がる場面なのですが、晶さんに紫色のちゃんちゃんこを着させたり帽子を被せたりと、実は段取りが色々とあったんです。
リハーサルの間はみんな独自に稽古をして、“じゃあ、私が一徳さんの腕をあげるから、米ちゃんがちゃんちゃんこを着せて！“とか、米ちゃんは“私がここに投げるから、それをこっちに渡して！”とか。くすっと笑えるシーンだからこそ、みんなで綿密に時間をかけて作っていました。
電気を消すタイミングもスタッフさんと息を合わせなければいけなかったので、随分とお稽古や打ち合わせをして臨みました。成功した時はみんなで手を取り合って“やったー！”と言いましたね。お互いを信頼しているので、思いっきり出し合うことができたのだと思います。振り返れば、そういったことが積み重なった１２年でした」
