シリアスからコメディまで、幅広い作品で唯一無二の個性を放つ俳優、小倉久寛。劇団『スーパー・エキセントリック・シアター』の旗揚げから45年間、三宅裕司と共に歩み続けてきた小倉久寛のTHE CHANGEとは──。【第4回/全4回】

小倉久寛 撮影/松島豊

 人の意見を聞き、流され流され……と、これまでの70年を振り返る小倉久寛は、迷いまくりの人生でもあったという。

「迷いまくり、人の意見聞きまくりで、ちょっと大げさかもしれないけど、人の意見でしか、生きてこなかった(笑)。相談は、いろいろな人にしますね。三宅さんはもちろんだし、マネージャーや劇団の先輩……だけじゃなく後輩にもするし、妻にもしますよ」

 妻といえば、元宝塚女優の速水渓さんに2年間プロポーズし続けたというのは、有名な話である。このときも、アタック方法を誰かに相談したのだろうか?

「アタック方法もなにも、ただひたすら“結婚してほしい”って言い続けただけですからね(笑)。ずっと直球、変化球無し(笑)。最後は諦めて“いいよ”って言ってくれた感じでした」

 照れくさそうに妻のことを語る小倉は、「チャーミング」という言葉がこれほど似合う男性はいないのではないかと思わせる魅力にあふれている。自身で思う、俳優・小倉久寛の魅力はどんなところなのか、聞いてみた。

「うわ〜、魅力ですか!? 難しいなぁ、えーっとですね、ぼくは自分のビジュアルがすごくイヤだったんですよ。背が小さくて手足は短くて、頭はでかい。だから、かっこよくなりたいなぁ、足が長かったらどんなにいいだろうなぁ、って思っていたんです。でも、犬を飼い始めてちょっと考えが変わったんです」