外で感じたストレスを家庭にぶつけることしかできなかった

ーー『全てアレン様が正しいでございます』にも、<心の片隅には地元の奴らを見返したいっていう、劣等感から来る欲望も同時に心にあるわけ>など、「見返したい」という心情が多く登場します。アレン様にとって地元とは、どんな存在なんでしょうか。

「ヮタクシは中学生のときに少年院に入って県外に行っちゃったので、高知にちゃんと住んだのは13,4年くらいなんです。その期間のいい思い出を聞かれても、ないじゃない。小学校6年間はクソみたいに馴染めなかったし、中学受験をして環境を変えようと思った先でも失敗していじめにあって、そこから反発して荒ぶっちゃって、地元を離れなきゃいけなくなって(笑)。卒業式だって縁もゆかりもない香川県でやることになったしね」

アレン様 撮影/三浦龍司

 特に小学校時代は感情をコントロールすることが難しかった。友だちがいない自分を恥じ、押し寄せるさまざまなストレスが家で爆発していた。

「子どもって“友だちがたくさんいることが勝ち”みたいな価値観があるじゃない。大人になるとそんなことクソどうでもいいけど、ヮタクシはそれがすべてだったから。だからどんどん心に歪みが溜まって、家の中で暴れるしかなかった。意味もなく暴れてたの。親にちょっとでも気に入らないことがあったら、家が壊れそうなほどバーーーンッ!って扉を閉めたり、お茶碗を割ったり。感情をぶつけるのは、家しかなかったんだよね。親からすると、たまったものじゃなかったと思うわ」