岸部一徳さんは「大きな心で自分の芝居を受け止めてくださった」
大門先生とは対峙する役どころではありましたが、米倉さんをはじめ、みなさんが温かく迎え入れてくださったおかげで、自分も思いっきり芝居することができました」
――染谷さんが演じる神津比呂人と岸部さん演じる神原晶さんが対峙するシーンも、緊張感が漂う場面でしたね。
「基本的に、比呂人は誰かと対峙しかしていないのですが(笑)。僕はどちらかというと、ある種の“怒り”のようなアクションをずっと一徳さんにぶつけているのですが、とても大きな心で自分の芝居を受け止めてくださったんです。なので、自分も比呂人の中で起こる感情を爆発させてバシバシぶつけることができましたし、どんな芝居をしても成立させてくださったので、とても素敵な時間をいただけました」
――どんなものも受け止めてくださるという安心感があったのですね。
「そうですね。役柄的にも、比呂人が晶さんに向かっていく気持ちをすごく理解してくださっていたので、その寛大さというのは、やはり一徳さんが素敵な方だからこそ出せる器量だなと感じました」
――そして西田さんといえば、皆さん「アドリブがすごくて堪えるのが大変」と仰いますが、今回の現場ではいかがでしたか?
「僕も最初に田村(直己)監督から “多分、台本に全然書いていないことが始まると思うけど、それに動じずに向かってくれ”ということは聞いていたんです。でも、段取りの時には我慢できずに笑ってしまって。
西田さんがいろんなお芝居を広げることで、その場の空気が何倍にも広がって豊かになっていって、そこにいる皆さんがより映えていくんですよ。西田さんとちゃんと共演させていただくのは今作が初めてだったのですが“染ちゃん”と気さくに声をかけてくださって、本当に忘れられない経験をさせていただきました」