「うちの妻も変なんです」
―なんか江戸時代の結婚みたいですね。でも、なぜその方と結婚しようと思われたのでしょうか。
「結婚ってそんなものじゃないですか。まあ、僕も当時36歳で、妻は31歳。そんな2人が出会うとこうなるんですよ」
―プロポーズされた奥さんはびっくりされていたんじゃないですか。
「うちの妻も変なんです。全然OKしてくれました。“いいよ”と即答でした」
―結婚後に思っていたのと違う、という気持ちが芽生えたりはないですか。
「そもそも、思っていたことがない(笑)。期待がない状態から始まっているんです。この人はこういう癖があるんや、とかを受け入れていくしかないんです。“この人こんなもんなんや”から始めるしかない。ある意味、奈良時代であるかもしれませんね」
「出会って10日婚」、そして日本最古の和歌集をブームに持ち込んだ異色の作家・佐々木さん。その日々はまるで万葉集のように、予測不可能な魅力に満ちあふれていた。
■プロフィール
ささき・りょう
昭和59年生。京都精華大学芸術学部卒業。大学時代は油絵を専攻。京都現代美術館の学芸員を経て、現在は瀬戸内の文化芸術の研究を中心に活動。自身で立ち上げた出版社・万葉社から令和4年10月に出版した『愛するよりも愛されたい』がベストセラーに。恋歌を現代奈良弁に超訳し、1300年前の情感を引き立てている同書はSNS風の表現と流行語を駆使し、令和時代にフィットする1冊に。7月21日には第二弾『太子の少年』を刊行予定。