映画やドラマ、舞台など幅広いジャンルで活躍を続ける伊原六花。高校時代に出場した「日本高校ダンス部選手権」で自身がセンターを務めたバブリーダンスで一躍、日本中から注目を集めた。高校卒業後は本格的に俳優の道を進み、2018年に『チア☆ダン』(TBS系)でドラマデビュー。2023年放送のNHK連続テレビ小説ブギウギ』では趣里演じる主人公・福来スズ子の後輩秋山美月役を好演し、お茶の間の人気を集めた。そんな彼女のTHE CHANGEとは?【第2回/全3回】

伊原六花 撮影/冨田望

 ドラマ、映画、舞台で幅広い活動をこなしている伊原さんだが、2021年は特に舞台に注力した年だった。『ロミオとジュリエット』、『友達』、『音楽劇 海王星』の3作に出演を果たし、俳優としてのひとつの節目になった年でもあった。中でも大きな影響を受けたという『友達』は、今夏公開された映画『箱男』(石井岳龍監督)の原作を書いた小説家・安部公房の代表的戯曲。突然転がり込んできた9人の家族によって自由を侵略、略奪されていく男の不条理の恐怖を描いたブラックコメディ。伊原さんが演じたのは9人家族の中の末娘だった。

「演出をされた加藤拓也さんの作品が大好きなんです」

 そう目を輝かせながら語る伊原さんに加藤拓也の舞台の魅力を尋ねると

「加藤さんのオリジナルの舞台では必ずちょっとひとつ劇的なことが起こるんです。最後に臓器が出てきたりとか(笑)。そういう最後にビクッ!っとなるような“何か”が絶対あって、それが私にはドンピシャでハマったんです。人間の生々しく汚いところも描きつつ、そういった劇的な瞬間もあって、会話のテンポも独特で唯一無二な世界観に魅了されるんです」