ダウンタウンを見たとき「お笑いには、まだこんなやり方があったのか」

 ビートたけしさん、明石家さんまさん、島田紳助さんなんて、テレビの中の人っていうイメージなので、一緒に仕事をできることになって、本当にびっくりしたのを覚えていますよ。

ラサール石井 撮影/柳俊彦

 3人でのコントをやらなくなったのは、漫才ブームが終わったこともありますが、ダウンタウンが登場したのがきっかけとも言えますね。初めて見たとき、「お笑いには、まだこんなやり方があったのか」ってびっくりしました。大阪でダウンタウンとコント赤信号でライブをやったことがあったんですが、あっちはドッカンドッカン盛り上がっているのに、僕らが登場したら、シーンとなって……。帰りの新幹線で落ち込みましたよ。そこからネタを作るのをやめてしまいました(笑)。

 その後、知的タレントみたいな枠でテレビ番組に出演させてもらうことにもなりました。当時、この枠は、僕と辰巳琢郎さんくらいしかいませんでしたので、ここもライバルが少なかった。あと問題もまだまだ簡単だったしね。今は、この路線も厳しいですよね。東大、京大、ハーバード出身のタレントだっている時代ですから。

 お笑いをやっていく中で、演劇への夢も持っていました。赤信号では小宮が一番、そんな思いが強かったですね。そこで、赤信号劇団というものを始めます。初演では、まだ全く世に出ていない、後のダチョウ倶楽部の肥後克広、室井滋、近藤芳正なんかも出演しています。

ラサール石井(らさーるいしい)
1955年生まれ 大阪府出身。渡辺正行、小宮孝泰とお笑いトリオ「コント赤信号」を結成。『オレたちひょうきん族』などで活躍する。2015年『ヘッズ・アップ!』で第23回読売演劇大賞の優秀演出家賞を受賞。近年は舞台のほか、ラジオ、映画、新聞のコラムなどで活躍中。

『鯨よ!私の手に乗れ』『りぼん』
渡辺えり 古稀記念2作連続公演
80年代から日本の演劇界を牽引してきた女優・演出家・劇作家の渡辺えり。彼女の古稀(数え70歳)を記念し、昭和の時代から現在まで生きてきた女性たちの群像劇が、2本連続で上演される。
日程・会場:東京=2025年1月8日~19日 本多劇場(東京都世田谷区)、山形=(『りぼん』のみ)2025年1月22日 山形市民会館
問い合わせ:オフィス300