俳優・市村正親さん(75)は、戦後、舞台俳優として自ら劇団青俳を立ち上げ精力的に活動した俳優の西村晃氏の付き人を経て、73年に劇団四季の『イエス・キリスト=スーパースター』で俳優デビュー。以降、同劇団の看板俳優として『オペラ座の怪人』など数多くの舞台で主演を務め、退団以降もミュージカル『ミス・サイゴン』や、一人芝居『市村座』、ストレートプレイ『炎の人』などで活躍し、多数の演劇賞を受賞している。その圧倒的な存在感と歌声、確かな演技力で多くの舞台ファンから支持を得ている市村さんにとって大きな変化、「THE CHANGE」は何だったのだろうか?【第1回/全4回】

市村正親 撮影/三浦龍司

 実はこのインタビュー取材の直前まで、12月27日から公開するアニメーション映画『ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い』のアフレコをしていた市村正親さん。さらに3日前までは、大阪で舞台『モーツァルト!』に出演し、次は福岡公演と、まさに多忙を極める。そんな市村さんに、今作の脚本の印象や、強き国王であり父親でもあるヘルムへの思いを語ってもらった。

――今回のヘルム役のオファーがあった時のお気持ちを教えてください。

「お話を聞いて、ぜひお仕事したいなと思いました。ただ、オファーをいただいた時、僕はまだ物語の内容を詳しく知らなかったので、イメージがあまり沸いていなかったんです。それに、実はアフレコの前日に脚本をすべて読んだところで、その感動がまだ残っているところなんですよ(笑)」

――まさに、アフレコ真っ最中のところをご取材させていただいていると。

「それに、3日前までは大阪で舞台「モーツァルト!」をやっていたから、自分が演じるヘルムのセリフの部分を読めたのも2日前くらいで、まだ他のところは入っていないんです。実は試写も見ている途中なのですが、それでもすでに“この仕事をやれてよかったな。この仕事と出会ってよかったな”と思っています」