斎藤さんが執筆した、コントの内容とは……

「事前に“こういうタイトルでやります”という報告が来たんです。それで“せっかくだから僕も出してください”とお願いすると、ライブの1週間前に台本が送られてきて。その内容が、永野さんと軽くトークをして、永野さんオススメの芸人さんの芸を観るみたいな、王族みたいな立場だったんです」

 齋藤さんは「これはちがう」と感じた。

「チケット5000円で、お客さんと一緒に芸人さんを観るだけなのはちょっとちがうなと思ったんです。それで、前から気になっていた男性の局部のコントを書くべきだと思いまして」

ーー男性の局部……?

「42度以上の高熱を出すと精子の質が低下するということを擬人化したコントです。僕と永野さんのふたりで、睾丸を演じるというショートコントを書いたんです。ほとんどナレーションベースで、自宅でスマホで録画してデータをお送りして、ということをやりました」

斎藤工 撮影/三浦龍司

 齋藤さんが伝えたいことは、「この経験で自身にCHANGEが訪れた」というありきたりなエピソードトークではなかった。

「僕が変わったという話というか、たとえばこういうふうに取材をしていただくときってこちらとしても提供すべき情報があり、それを元に取材をしてもらうことが多いと思います。でも、その瞬間のスムーズさのようなものに力点を置いてしまうと、あとあと結局なにも残らないなと思うんです。