アーティストだからこそ“他人の評価”も気にする

 徹底的に人柄を知りつつ、中村優神や佐藤大樹としてのオリジナリティを打ち出していった。

「完全なコピーになってしまったら、僕が演じる意味はないんです。だから声のトーンを変えてみたり、歩き方も佐藤大樹でもモデルの人でもないスタイルを探ってみたりしました。ある意味“模範解答”になる人が近くにいるので、架空の人の役をつくるより苦労しましたね」

 「馬の社会的地位を上げたい」という熱い思いを持ち、コネもゆかりもない南相馬市で馬と生きる中村優神を演じて、自身の性格にも気づくことがあった。

「監督から、“僕の根はものすごく真面目だ”と言われました。実際、撮影の序盤は優神の物怖じしないところや、いい意味でアクティブな面を表現しきれていなかったと思います。彼は根拠がなくても自信や行動力を持てるのですが、僕は人にどう思われるかを気にしてしまいますね」

 他人の評価を気にしてしまうのは「職業柄」だという。

「アーティストとしてステージに立つときも、人に見られている分お客さんの感想もすぐに知りたいですし、フィードバックできるポイントを見つけようとします」