昨年、俳優キャリア50周年を迎えた長塚京三。スタートが、フランス留学中に実現した映画『パリの中国人』の主演だったことも知られる。その姿には、隠し切れない知的オーラが漂う。同時に、ウイスキーのCMでにじませた愛らしさ、ドラマ『ナースのお仕事』や大河ドラマ『篤姫』などで感じさせた親しみやすさなど、さまざまなフィールドで幅広い魅力を輝かせてきた。そんな長塚さんのTHE CHANGEとはーー。【第4回/全4回】

長塚京三 撮影/三浦龍司

 1974年に俳優デビューした長塚さんだが、早稲田大学第一文学部演劇科に在籍時は、演劇サークルに所属していた。

――当時、久米宏さんもお仲間だったというのは本当ですか?

「一緒でした。でもお互いに違う方向へ行っちゃったからね。会うこともなくなりましたけど。ふたりとも忙しくなっていって、僕が『理想の上司』なんかをやっていた頃、ちょうど彼は『ニュースステーション』のメインキャスターをやっていて(1985~2004)、僕が出ていた東芝日曜劇場がTBSで終わったら、今度はテレビ朝日で久米さんの番組が始まるという感じだったね」

(『理想の上司』・・・1997年に放送された長塚さん主演のドラマ。部下の社員役には松雪泰子さん、石田ゆり子さん、木村佳乃さんがならんだ)

――演劇サークル「劇団木霊」には田中真紀子さんもおられたとか。大学時代の仲間がそれぞれの分野で大活躍したわけですが、当時、長塚さんは演劇サークル活動後、早稲田大学を中退してフランスのパリ・ソルボンヌ大学へ留学しました。そして留学中に映画『パリの中国人』でデビュー。すごいことです。大きな転機ですね。

「人生における転機というのは、どんどん変わっていくのであまり答えようがないんですけど、僕が大変ラッキーだったことは間違いないです。しかるべきタイミングでしかるべき人にお会いできてきた」