映画『伽耶子のために』で鮮烈なデビューを果たした俳優の南果歩。以降は、映画だけに留まらず、ドラマや舞台にも活躍の場を広げ、コメディからシリアスなものまで幅広い役柄を演じてきた。2024年は俳優としてのキャリアも40年を迎えた。近年では、海外作品にも積極的に出演し、俳優以外の活動でもバンド(ボーカル担当)を組んだり朗読劇に取り組んだり……とまさに人生を謳歌している。そんな南さんにも人生の転機となる出来事「THE CHANGE」があった————。【第3回/全4回】
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洋画好きの南果歩さんの映画に対する興味のベクトルを変えたのは、小栗康平監督の『泥の河』との出会いだった。その小栗監督のデビュー2作目となる『伽耶子のために』で、ヒロイン・伽耶子役のオーディションあることを知った南さんは、それを受け、2200人の応募者の中から、見事に伽耶子の役を射止めたのである。南さんが『泥の河』を観て1年後のことだ。
「受かる自信があった……というか、あの当時は『泥の河』が好き過ぎて1年で4回ぐらい観ていたんです。『伽耶子のために』も高校生の時に原作を読んでいたので、『泥の河』の世界観もリンクして、自分の想像上の伽耶子という女の子は、オーディションを受ける時には既に姿形をした人だったんです。自分の中では妄想が止まらなくなっていたんですね。だから、自信というよりも思い込みが強かったんだと思います」