映画『伽耶子のために』で鮮烈なデビューを果たした俳優の南果歩。以降は、映画だけに留まらず、ドラマや舞台にも活躍の場を広げ、コメディからシリアスなものまで幅広い役柄を演じてきた。2024年は俳優としてのキャリアも40年を迎えた。近年では、海外作品にも積極的に出演し、俳優以外の活動でもバンド(ボーカル担当)を組んだり朗読劇に取り組んだり……とまさに人生を謳歌している。そんな南さんにも人生の転機となる出来事「THE CHANGE」があった————。【第4回/全4回】
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映画『君の忘れ方』で主人公の母親を熱演している南さんは、2024年に俳優デビュー40年を迎えた。その話を向けると即座に「長っ!」と笑いながらのリアクションを返してくれた快活な南さんだが、プライベートでは2016年に大きなチェンジを経験している。乳がんを患ったのだ。
「最初に聞いた時には、“まさか私が!”って、本当にドラマのようなセリフが心の中で湧いてきました。当時は手術のギリギリまで連ドラを撮っていたので、クランクアップとほぼ同時に入院して、手術しました。でも、それから一か月半後にはもう舞台の稽古に入っていました」
罹患したことによって人生に変化がありましたかという問い掛けに対して、ゆっくりと言葉を選びながら答えてくれた。
「その日を境に劇的に変わったということではないんですが、少しずつ変わってはいきました。手術を受ける前後は仕事もあったので、じっくり自分の時間に向き合えなかったんです。だから、術後にあった舞台のお仕事を終えてから、現状と自分の気持ちが合わさっていったといいますか、自分の人生が大きく変化したのはその頃だと思いますね」