モットーは「一日一滅」

──なんでも“一日一滅”をモットーにされているそうで。

「能動的にと言いながらも、仕事とか色んな予定を入れ過ぎちゃうところがあるんです(笑)。“それ、やれるんじゃないかな、だったらやっておこう”とか“やりたいやりたい”とか、そんな感じで詰め込み過ぎるんですよ。でも、それは効率的にも良くないと思いましたし、それだったらひとつ減らすぐらいが丁度良いいんじゃないかなって。ひとつ減らして、クオリティを上げていこうという気持ちがありますね。やっぱり物理的にも忙し過ぎるのは良くないなと思いますし」

──1日24時間じゃ足りない?

「そうなんです。だから、あんまり寝ないんです。睡眠時間は大体、1日5~6時間ぐらいかな。お仕事がある時はもっと寝ないといけないと思っています。特に舞台の時は寝ないと声が出なくなってしまうし、映像の時は寝ないと顔に出てしまうし…(笑)。元々、起きている方が好きなんです。起きている間は好きな本を読んだり、映画を観たり、次に出そうと思っている本の構想やアイデアを考えたり」

 最後にこれからについて訊いてみた。

「目標としては面白い役と出会うこと。それはマストですね。面白い役を呼び込む自分でいたいです。その為には、見て、感じて、旅して……そういうこと全てが呼び込むことに繋がると思っています」

 付け加えて「美味しいものを食べたりとか、も?」と尋ねると、「もちろん!」と一段とテンションを高くしながら即答。

「私、本当に食べることが大好きなので食べることも大事です、はい」

 明るく溌溂とした受け答え、その容姿や言動からは、とても還暦とは思えない若々しさを感じる。2022年に自伝エッセイ『乙女オバさん』(小学館)を上梓したが、「乙女」の“乙(おと)”は古語で動詞「お(復)つ」と同語源で、「若々しい」を意味する。南さんはたぶん、きっと死ぬまで「乙女」なのである。

⾐装:FABIANA FILIPPI(アオイ 03-3239-0341)、TASAKI(0120-111-446)

南果歩(みなみ・かほ)
1964 年1月20日生まれ、兵庫県出身。A型。1984年、映画『伽椰子のために』(小栗康平監督)でヒロイン役に抜擢されて俳優デビュー。その後、テレビや映画、舞台で幅広く活躍。近年では、朗読にも定評があり、東日本大震災、熊本 地震、能登半島地震後などの被災地へボランティアで出向き、子どもたちに絵本の読み聞かせも行なっている。最近の出演作は、海外ドラマ「Pachinko パチンコ」(AppleTV)、映画『義足のボクサー GENSAN PUNCH』(22)、『MISS OSAKA/ミス・オオサカ』(21)、舞台「これだけはわかってる 〜Things I know to be true」(23)、「木のこと The TREE」(24)。著作にエッセイ「乙女オバさん」、絵本「一生ぶんの だっこ」など。 公開待機作 に映画『ら・かんぱねら』、『ハジマメシテ!(原題:Rules of Living)』、韓国映画『蕎麦(そば)の花咲く頃』、台湾映画『腎上腺(英題:Adrenal)』などがある。

【作品情報】
映画『君の忘れ方』
出演:坂東龍汰 西野七瀬 円井わん 小久保寿人 森優作 秋本奈緒美 津田寛治 岡田義徳 風間杜夫(友情出演) 南 果歩
監督・脚本:作道 雄 
エンディング歌唱:坂本美雨
1月17日(金)より全国公開
配給:ラビットハウス
Ⓒ「君の忘れ方」製作委員会 2024公式サイト
公式サイト https://kiminowasurekata.com/