昨年秋場所途中で現役を引退。175センチ、165キロの小柄な体で、2018年九州場所、小結で初優勝。得意の突き押し相撲を磨き、大関昇進後も優勝を重ねた貴景勝。引退後は年寄・湊川を襲名し、NHK大相撲解説も好評の親方の「THE CHANGE」とはーー。【第4回/全4回】
2019年春場所後、大関昇進を果たした貴景勝は、新しく「令和」と元号が変わった5月の夏場所、新大関として颯爽とデビューした。
4日目を終えて3勝1敗。一見、好調かと思われたが、右ヒザを痛めて6日目から途中休場。
「大関に上がった場所でケガをしてしまって。まさに、天国から地獄に落ちた気持ちでしたね。“このままでは終われない!”。そう思っていたのですが……」
相撲協会の規定では、大関の地位で2場所連続して負け越すと、大関から陥落することになっている。負け越し扱いの夏場所のあとの名古屋場所では、早くも「カド番」の試練が待ち受けることになった。
22歳という若さ。将来を見据える意味で、名古屋場所は全休。9月の秋場所では、関脇陥落を余儀なくされた。大関陥落直後の関脇の場所で、10勝以上を挙げれば、「特例」として、大関復帰が認められる。貴景勝は12勝3敗の好成績で窮地をしのぎ、すぐに大関復帰を実現させた。