デートはだいたい焼肉屋でした

 現役引退後、同じバラエティ番組に出演した貴景勝こと湊川親方が、司会の浜田雅功さんから2人の交際のキッカケについて突っ込まれるシーンがあった。

「ウワサでは、“番組の控室で連絡先を交換した”なんてことになっていますけど、違うんですよ(笑)。収録後に、自分が彼女のインスタを見て、タグづけしたんです。そこからですね。連絡を取り合うことになったのは。2人とも焼肉が好きで、デートはだいたい焼肉屋でしたね」

 貴景勝は2度目の優勝の後に、有希奈さんとの結婚を公表。私生活での大きな転機となった。

 3度目の優勝は、23年初場所のこと。
 10勝3敗で臨んだ千秋楽の対戦相手は、同じく3敗の平幕・琴勝峰。

「(埼玉栄高の後輩の)琴勝峰に対しては、“意地でも負けられない”と思っていました。本割で相星で勝負して、優勝を決めたというのも、前回までと違いました」

 そしてなにより、貴景勝が望んでいたことがあった。以前から、大相撲界では、優勝した力士が表彰式が終わって支度部屋に戻ると、後援者や家族と共に記念撮影をする風習がある。自分の子どもを抱いて記念撮影をするようになったのは、昭和から平成にかけての大横綱・千代の富士が先駆けだったが、20年以降のコロナ禍では記念撮影自体が中止されていた。

「コロナが収まったこともあって、この初場所から、後援者の方や家族と優勝賜杯を囲んで写真が撮れることになったんですよ。だから、どうしても優勝して、2歳になった息子と一緒に写真を撮りたかったんです。それが実現できて、本当によかったと思っています」

3度目の優勝パレードの様子

 結果的に最後の優勝となったのは、同年秋場所。混戦となったこの場所は、千秋楽に高校の先輩・大栄翔に勝ち、11勝4敗で決定戦にーー。

「(場所途中までの展開では)優勝なんて考えられなかった。でも、追いかけて、追いかけて決定戦に持ち込んだ優勝でした。優勝戦線を引っ張っていた(新鋭の平幕)熱海富士には絶対に負けたくなかったですしね。
 4回の優勝は、内容がすべて違っています。どの優勝が印象的? それはもう、全部ですよ」

4度目優勝を決めた2023年秋場所

 この優勝から1年後の昨年秋場所、28歳で現役を引退。現在は、湊川親方となった貴景勝。

「(初場所好調で)自分の付け人をしてくれていた王鵬には、特に期待しています。他にも、同じ常盤山部屋の幕下・若ノ勝には、早く十両に上がってもらいたいと思っています」

 若き親方の次の「チェンジ」が楽しみだ。

貴景勝 貴信(たかけいしょう・たかのぶ)
1996年8月5日生まれ、兵庫県芦屋市出身。 貴乃花部屋より2014年9月場所にて初土俵を踏み、2019年3月場所終了後に大関に昇進。 2024年9月場所をもって引退するまで幕内最高優勝4回などの成績を残した。引退後は年寄・湊川を襲名し常盤山部屋の部屋付き親方になった。