最大のピンチを救ってくれた不動産屋さんからの提案

 1977年のデビュー以来『すすめ!!パイレーツ』『ストップ!! ひばりくん!』(集英社)とヒット漫画を連発し、80年代半ば頃からはイラストの仕事にも力を入れるようになった。しかし、あまり漫画を描かなくなったことで徐々に収入が減り、気がつけば仕事場の家賃が払えないほどにひっ迫していたのだという。

「不動産屋さんがすごく理解のあるところで、家賃を何か月も待ってくれたんです。ここに仕事場を借りたのは30年近く前ですが、仲介してくれたのはリベストという、吉祥寺を中心に地域に密着した不動産屋さんで、アート事業も展開していてギャラリーもあるんです。

 滞納した家賃を待ってくれただけでなく、原画展を開催することも勧めてくれました。僕も地元の商店街のポスターを描いたりして、吉祥寺の街と関わっていたこともあり、いろいろと助けてもらいましたね」

 その後、なんとか金欠状態を抜け出したというが、いったいどうやって乗り切ったのだろうか?。

金欠生活を脱出した驚くべき方法とは⁉

「原画を売ったんです(笑)。その頃、昔のパントーンで描いた絵とか、もう執着がなかったし、こんな絵はもう古くて嫌だって思ってた時期で、自分で持っていてもしまっているだけだし、喜んで買ってくれる人がいるんだったらその方がいいかなって。

 昔『ガロ』で描いてた漫画家さんたちもお金がなくて、原画を売っていたという話も聞いていたので、リベストのギャラリーで原画を販売する個展をやりました。でもその後の本当の転機は2015年以降に来ましたね」