画面のどこにいても、どうしても追う目が止められずに引き込まれ、喜怒哀楽を刺激される俳優・佐藤二朗。ドラマ『勇者ヨシヒコシリーズ』(テレビ東京系)をはじめとするコメディでの活躍が思い浮かぶ一方で、近年は監督・脚本を務めた映画『はるヲうるひと』(21年)や、第14回TAMA映画賞で最優秀男優賞を受賞した主演映画『さがす』(22年)など、観る者を震撼させる凄みを放つ。コメディからシリアスまでその才覚を発揮し、コラム集『心のおもらし』(朝日新聞出版)を上梓するなど、多方面で活躍する佐藤さん。一筋縄ではいかなかった俳優道での『THE CHANGE』とはーー。

佐藤二朗 撮影/川しまゆうこ 

「最新のタイトル、なんでしたっけ? 『俺は人間でありうんこではない』だっけ?」

 佐藤二朗さんがそう問いかけたのは、取材に同席していた担当者である。

「『あくまで俺は人間であり、うんこではない』です!」

 と、正確に答える担当。うんこが飛び交うここは、超大企業・朝日新聞本社。上記は『AERA.dot』で佐藤さんが連載中の『こんな大人でも大丈夫?』コラムのタイトルであって、誰ひとりふざけていない。

ーーコラム集『心のおもらし』には、開始当初の2018年のものから掲載されていますよね。5年間も続く長寿連載ですが、当初と現在で、変化したことはありますか?

佐藤「あるある。時系列で並んでいるんだけど、改めて読み返すと、最初の頃はふざけつつも“ちゃんとしなきゃ”という思いがあるね。たとえば……」

 佐藤さんが例にあげたのは、「恋は『ピンポイント好き』から」というタイトルのコラムだ。妻が耳掘りが大好きだという話から始まり、映画『50回目のファーストキス』(18年、ソニー・ピクチャーズエンタテインメント)に出演した際、佐藤さんが恋愛相談に答えるという企画が行われた際、「好きな異性が見つかりません」という相談が多かったことに驚いたーーというもの。