本のタイトルに込められた意味

佐藤「このときは、なんかちょっと良さげなことを言わなきゃ、とか、ちゃんとオチはまとめなきゃ、みたいなことを考えて書いていました。でもいまは、何も考えていないんです。
 とっ散らかったままでいいか、と。だって最新コラムのタイトルは『あくまで俺は人間であり、うんこではない』ですからね」

ーー本のタイトルも「おもらし」だし、つい漏れてしまった感がありますもんね。

佐藤「妻が教えてくれたんです。“中年になると独り言が多くなる”という話を妻としているときに、“そういうの、心のおもらしっていうんだよ。ネットで誰かが言ってた”って。見事な表現ですよね」

ーー晩酌をしながら書くことも多い、と言ってましたね。

佐藤「どうしてもネタに困ったときは、“こんなに眠くてコラムが書けるのか?”というテーマにしたり、晩酌をしながら書いて、中盤で酔ってきて末尾までには泥酔するという。私はそれを”実験的コラム”と呼んでいるんですが、まあムリヤリですけどね」

ーー臨場感が味わえますね(笑)。いい話をありがとうございます。

佐藤「いい話ではないと思うけど。今日は本当によく褒められる日だな。妻にも見習ってほしい。もうちょっと褒めてほしいよ」

■プロフィール
佐藤二朗(さとう・じろう
 1969年5月7日生、愛知県出身。96年に演劇ユニット「ちからわざ」を旗揚げし、全公演で作・出演。名バイプレイヤーとしてさまざまなジャンルのドラマ、映画に出演し、2008年に映画『memo』で監督デビュー。09年には初主演映画『幼獣マメシバ』で注目され、同時期に福田雄一監督作に出演、存在感を発揮する。近年は主演ドラマ『ひきこもり先生』(NHK)、大河ドラマ鎌倉殿の13人』(同)などが話題に。21年公開映画『はるヲうるひと』では原作・脚本・監督を務め、海外の映画祭で最優秀脚本賞を受賞。主演映画『さがす』(22年)では国内の映画祭で最優秀男優賞を受賞した。23年6月に書籍『心のおもらし』(朝日新聞出版)を上梓。

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