舞台となる年も違う2つの作品をダブルビルで上演

 そんな竹下が現在取り組んでいるのは、2月15日から東京・シアタートラムで上演される舞台、―サイモン・スティーヴンス ダブルビル―『ポルノグラフィ/レイジ』だ。

「ダブルビル……イギリスの劇作家サイモン・スティーヴンスさんがお書きになった2つの作品を、同じ出演者で続けて上演するという、チャレンジングな企画なんです」

『ポルノグラフィ』は、2005年にロンドンで起きた、地下鉄・バス連続爆破テロ事件を題材にした作品。『レイジ』は2015年から2016年に移り変わるイギリスの都市での大晦日の様子を描く群像劇。書かれた時期も、舞台となる年も違う2つの作品が、ダブルビルで上演される。

「初めて台本を読んだとき、どちらの作品からもヒリヒリする言葉が心に刺さってくるような感じがしました。いわゆるストーリーを語るセリフではなく、登場人物の心のつぶやきや叫びが言葉になっている。こういうスタイルの台本に出会ったのは初めてで、新鮮な衝撃がありました」

『ポルノグラフィ』は、「分かってもらえるような言葉で話していこう。私たちの言葉は死んでしまった、でもこれから血を通わせ命を与えよう」という文章で始まる。

「お客さまが見終わったあと、2つの作品を通してずっと流れているひとつのメッセージみたいなものを受け取っていただけるよう、言葉に血を通わせ、命を与えられたらと思っています」

(つづく)

竹下景子(たけした・けいこ)
1953年9月15日生まれ。愛知県出身。高校生時代からテレビドラマに出演し、1973年にドラマ『波の塔』(NHK)で本格デビュー。映画『学校』で第17回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。舞台『朝焼けのマンハッタン』、『海と日傘』で、第42回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞。近年の主な出演作は、舞台『まるは食堂 2024』(24年)、『Silent Sky』(24年)、NHK連続テレビ小説おかえりモネ』(21年)、ドラマ『風間公親−教場0−』(23年)、『離婚しようよ』(23年)、映画『君たちはどう生きるか』(声の出演/23年)など。

●作品情報
サイモン・スティーヴンス ダブルビル
『ポルノグラフィ PORNOGRAPHY/レイジ RAGE』
東京公演:2025年2月15日(土)〜3月2日(日) シアタートラム
作:サイモン・スティーヴンス
翻訳:小田島創志(『ポルノグラフィ』)、髙田曜子(『レイジ』)
演出:桐山知也
出演:亀田佳明 土井ケイト 岡本玲 sara 田中亨 
古谷陸 加茂智里 森永友基 斉藤淳 吉見一豊 竹下景子
スウィング:伊藤わこ 森永友基
公式サイト: https://setagaya-pt.jp/stage/16041/