女優、歌手、映画監督など、現在、芸能界におけるさまざまなフィールドで活躍する黒木瞳。かつて所属した宝塚歌劇団での入団2年目という、男役・娘役を通じ史上最速で、当時月組トップスターだった大地真央の相手役となる娘役トップに就任したエピソードも知られる。1985年の退団から40年。黒木さんのTHE CHANGEとはーー。【第1回/全3回】

黒木瞳 撮影/三浦龍司

宝塚歌劇団の娘役トップとしてのキャリアが有名な黒木さんだが、写真撮影やインタビュー中のやりとりから、サバサバした空気が伝わってくる。

――黒木さんにとって、これまでの人生におけるTHE CHANGEの時を挙げるなら、いつになりますか? もしくは誰か、何かとの出会いとか。

「やはり宝塚に入ったことだと思います。思ってもみない世界に入れていただいたので。すべてはそこからの出発ですから」

――宝塚音楽学校合格を目指し始めてから、実際に受験をするまでの期間がすごく短かったとか。

 高校1年生のときに地元福岡で宝塚の公演を初めて観た黒木さんだったが、宝塚鑑賞はあくまで趣味の範囲で、高校1年生、2年生と宝塚音楽学校の受験はしておらず、3年次には音楽教師になろうと音楽大学を受験していた。

「そもそも目指してなかったんです。すごく失礼になりますけれども、事実なので申し上げますが軽い気持ちで“受けてみようかな”と……とても楽しく試験を受けたんです。まず合格するとは思っていませんでしたし、すでに入学予定の大学も決まっていましたので。ほかの受験生のみなさんが緊張なさっているなか、ひとり能天気に受けていました」