違う女性の人生を「生きた」という感覚で演じる
――違う女性の人生を“生きた”感覚になった最初はいつでしたか?
「宝塚でブロードウェイ・ミュージカルの『ガイズ&ドールズ』という作品に出会ったときです。もう自分ではありませんでした」
『ガイズ&ドールズ』は1984年に宝塚歌劇70周年の記念公演として初演された同名ミュージカルの宝塚版。主人公のプレイボーイの賭博師スカイを大地真央さんが演じ、スカイが出会う女性サラを黒木さんが演じた。
「舞台の上では意識していなかったのですが、幕が下りる瞬間“サラという女性を生きた”と感じました。虚実皮膜(きょじつひまく)の間じゃないですけど……本当に虚と現実の狭間にいるような感覚は、そのときに芽生えましたね」
――役者さんの中には、かなり俯瞰で見ている方もいますが、黒木さんは、完全にその人物を「生きている」んですね。
「作品にもよりますが、 そちらのほうが多いと思います。私はその女性を“生きた”ほうが面白いですし。幕が下りた瞬間に現実に戻るわけですが、お客様からの温かい拍手が、次の日の勇気になります」
――役を生きるにも、観客の存在がかなり大きい。
「もちろんです。おひとりおひとりに届くようにと、いつも思っています。それが映像作品で、お客様の顔が直接見えなかったとしても、同じ思いでいます」
力強く語る黒木さんのまっすぐな瞳が印象的だった。
くろき・ひとみ
俳優。
これまでの映画作品において、WEIBO ACCOUNT FESTIVAL2022 最優秀主演女優賞受賞。
2023年6月公開映画「魔女の香水」では主演。
2024年14年ぶりディナーショー「for you」演出・出演。
2025年1月からはリーディングエンターテイメント「ルビンの壺が割れた」演出・出演も手掛ける。
近年は映画監督として4作品を手がけたり、 エンターテイメントの世界で幅広く活躍中。
劇場アニメ 『ベルサイユのばら』
原作:池田理代子
監督:吉田 愛
脚本:金春智子
キャラクターデザイン:岡 真里子
音楽プロデューサー:澤野弘之
音楽:澤野弘之、KOHTA YAMAMOTO
アニメーション制作:MAPPA
CAST:沢城みゆき、平野 綾、豊永利行、加藤和樹ほか
ナレーション:黒木 瞳
主題歌:絢香『Versailles - ベルサイユ - 』
配給:TOHO NEXT/エイベックス・ピクチャーズ
(C)池田理代子プロダクション/ベルサイユのばら製作委員会