高校時代、福岡公演で『ベルサイユのばら』に親しんだ

――何度かご覧になったとか。

「1年に1回、福岡公演があったので、高校時代の3年間に『ベルサイユのばら』を2回、『風と共に去りぬ』を1度観ました」

――2回目の『ベルサイユのばら』はどなたが出演されていましたか。

「汀夏子さんがオスカル、麻実れいさんがアンドレでした(雪組公演)」

――ご自身も『ベルサイユのばら』の登場人物を演じてみたいとは思いませんでしたか?

「そんな恐れ多いことは思いませんでした。宝塚は夢の世界ですから、公演を観て、愛や夢や勇気をもらって家路についていました」

黒木瞳 撮影/三浦龍司

――宝塚に入団されてからは。

「私がいた時期は、宝塚での最初の『ベルばら』ブーム(74年~76年)と、第二次『ベルばら』ブーム(89年~91年。宝塚歌劇75周年とフランス革命200年を記念しての再演)の間でしたので、一度も公演がなかったんです」

 黒木さんは1981年に『宝塚春の踊り』で初舞台を踏んだ。82年10月、入団2年目にして娘役トップスターに就任。85年9月、トップスターの大地真央の退団と同じタイミングで宝塚を去った。

「それに、当時は“演じてみたい”と考える余裕もありませんでした。自分が退団してから同期がオスカルをやったり(67期生の涼風真世、真矢ミキ)、マリー・アントワネットをやったり(毬藻えり・89年の星組公演)しておりましたので、そちらを拝見していました」