“アンダーグラウンド”の演劇界は、音楽シーンとの関りも深かった
そんな佐野さんの口から挙がる名前の一つひとつは、日本の音楽のみならずポップカルチャーシーンで欠くことのできない重要な足跡を残している人たちばかりだ。もし彼らの名を全く知らなくても、いま享受しているポップカルチャーでその影響を全く受けていないものが一体どれほどあるのだろう……。そう思うと、佐野さんという人の深淵さにめまいがしそうだ。
「アンダーグラウンドの演劇界は音楽に携わる人たちも多く、役者もミュージシャンもあまり垣根がなかったように思いますね。そのおかげで、遠藤賢司さん(純音楽家を名乗り、多くのミュージシャンに影響を与えた)との交流も生まれました。
1984年に僕が状況劇場を離れるときは、当時、嶋田久作と一緒に組んでいたバンド『タイムスリップ』をバックバンドとしてライブに呼んでくださいました。エンケンさん(遠藤の愛称)のバックバンドと言えば、細野さん、鈴木さん、松本隆さんなど、あのはっぴいえんどのメンバーが務めていました。
だから当時、嶋田とふざけて“エンケンさんのバックバンドなら、俺らも売れるんじゃないか”なんて、言ったりしてね(笑)。 僕が初出演、主演した映画『夢みるように眠りたい』(1986年、林海象監督)にご出演いただくなど、さまざまな形で関わりを持ってくださいました」
佐野史郎(さの・しろう)
1955年3月4日生まれ、島根県松江市出身。1975年、劇団「シェイクスピア・シアター」の創設メンバーとして参加し、1980年からは唐十郎氏が主宰「状況劇場」で活動。1986年、林海象監督のデビュー作『夢みるように眠りたい』に映画初出演で主演を務める。現在は、テレビドラマや映画、舞台、朗読など幅広い分野で活躍するほか、映画監督としても作品を発表している。1980年代半ばからはインディーズバンドを組んで、音楽活動を継続。2023年7月にリリースした佐野史郎 meets SKYE名義の『ALBUM』(コロムビア)は、2024年11月に『2024レコードの日限定盤 ALBUM』(FUJI)として2枚組アナログレコード化された。
◆作品情報
『ALBUM』
3300円 (税別3000円)
1.DREAM LAND
2.MELODY HOUSE
3.まどのそと 視聴
4.NOSTALGIA
5.KING KONG
6.悲しき熱帯
7.旅芸人の記録
8.彼岸花
9.ほほえみ
10.セントラルアパート
11.冬の街の夜空
公式サイト:https://columbia.jp/artist-info/sanoshiro/