ドラムヴォーカリストという枠を超えて、モデル、俳優としても活躍するシシド・カフカさん。近年では自らが主宰する音楽プロジェクト「el tempo」ではコンダクターを務め、今年は堺正章さん、「ゴダイゴ」のミッキー吉野さんらとバンド「堺正章to MAGNETS」を組んだりと、実に精力的な活動を繰り広げている。そんなシシドさんの人生におけるCHANGEを聞いてみた──。【第1回/全4回】

シシド・カフカ 撮影/冨田望 スタイリスト/多木成美 ヘア/MAYUMI メイク/SAKURA

 鮮やかな赤の衣装を纏い、インタビュールームに入ると、引き込まれるような瞳をこちらに向け、落ち着いたトーンで話し始めた。この日、劇場版『トリリオンゲーム』の完成披露舞台挨拶に登壇したシシドさんは、その艶やかな舞台挨拶の衣装で取材に応じてくれたのだ。

 「劇場版からの参戦となりました。ドラマから続く時の流れに、ちょっとした色が残せていると良いなと思います」

 会場に集まった約1700人のファンの前でこうコメントしたが、本作は2023年に放映された連続ドラマ『トリリオンゲーム』(TBS系)の劇場版だ。映画のために書き下ろされたSnow Manによる主題歌「SBY」というミディアムバラードにも注目が集まる。

 ロマンと欲望が入り混じる魅惑のカジノリゾートを舞台に、ワガママで人たらしの“世界を覆すハッタリ男”のハル(目黒蓮・Snow Man)と気弱で心優しい“凄腕エンジニア” のガク(佐野勇斗)のバディが難解な強敵に立ち向かうストーリーで、ハルとガク以外にもドラマ版から引き続きキリカ(今田美桜)や凜々(福本莉子)、祁答院(吉川晃司)も登場する。シシドさんが演じたのは映画の舞台となるカジノリゾートの謎の女性ディーラー、ラモーナ・タキガワ。

「最初に台本を読んだ時はスケールが大きすぎて、その世界観に入るまで大変だった部分もありました。私が演じたラモーナは、多くのことを体験してきて、そこで踏ん張った時期もあれど、それも上手くいかなかった。だから、どこか人生を諦めてしまったというか、何も考えないように大きな波に乗っかることを決めた女性……そんなイメージを抱きました」