ドラムヴォーカリストという枠を超えて、モデル、俳優としても活躍するシシド・カフカさん。近年では自らが主宰する音楽イベント「el tempo」ではコンダクターを務め、今年は堺正章さん、「ゴダイゴ」のミッキー吉野さんらとバンド「堺正章to MAGNETS」を組んだりと、実に精力的な活動を繰り広げている。そんなシシドさんの人生におけるCHANGEを聞いてみた──。【第4回/全4回】

シシド・カフカ 撮影/冨田望 スタイリスト/多木成美 ヘア/MAYUMI メイク/SAKURA

「2016年に放映されたドキュメント番組『アナザースカイ』(日本テレビ系)で私が中学時代を過ごしたアルゼンチンを訪れる、という企画があったんです。その時に”ハンドサイン“を使った音楽のシステムに出会いました」

 ハンドサインとは手の動きや指の形などによって自分の感情や意志を表現すること。アルゼンチンの打楽器演奏者で音楽プロデューサーでもあるサンティアゴ・バスケス氏が考案した、ハンドシステムを用いた即興音楽にシシドさんは惹かれた。

「聴いたことがないというより、見たことのない音楽だったんです。指揮者の人が指揮をして音楽をどんどん変えていくんですけど、何も知らないで見たので、本当に魔法にかかったような音楽を見る感覚だったんですよ。その場の雰囲気もすごく良くて、お客さんたちの中には踊っている人もいれば、話している人いる、お酒を飲んでいる人もいるし、卓球をしている人もいる……、ほんとに自由な空間だと思いました」