14歳でデビューしてから今年で20周年。しなやかに役者を続けてきた北乃きいだが、誰かにライバル意識を抱いたり、嫉妬にかられたことはないという。また、いまでも芸能界の外でかなえたい夢があると話す、自分を見失わずに生きてきた北乃のTHE CHANGEとは──。【第3回/全4回】
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「学校でも、賞なんてもらったことは全然なかったです。小学校のときに工作で“工夫点”はもらったことがありますが、あれはおばあちゃんと一緒に作ったもので(笑)。運動会のリレーなどでも1位になったことはなくて、自分の本名で表彰されたことはありませんでした」
そんな北乃が、初めて映画賞をとって「役者への自覚が生まれた」と語るのが、2007年の映画『幸福な食卓』での主演経験だった。
──『幸福な食卓』では、平穏な家庭が突然崩壊していく中、家族を支える中学生・佐和子の役で、日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞しました。
「中学3年生、つまりまだ(女性というよりは)“女の子”という役でもあったので、当時はまだ“趣味の延長”のような気分で仕事をしていました。今回一緒になったマイカ・ピュちゃんとそのころの私、4~5歳しか違わないんですよ(笑)。賞をいただいても、芸名の北乃きいとして褒められたにすぎないので、初めて人に認められたとはいえ、不思議な感覚でした」