“周囲の人たちの喜ぶ顔”がチェンジのきっかけに

──受賞で、何か考え方が変わったりはしたのでしょうか。

「実は、佐和子のキャスティングには、もうひとりギリギリまで迷われた方がいたそうです。その方は私よりも芝居がずっと上手で。オーディションも受けましたが、そのころ私は演技もほぼ新人。
 だから偉い人もギャンブルで決めたと思いますが(笑)、“やっぱりこいつじゃダメだ”と思われずに済んでホッとしつつ、事務所の社長さんやプロデューサーさんの喜ぶ顔が見られたことがうれしかったです。お芝居自体が楽しかったかというと違うんですが、周りの人の喜ぶ顔が見られることが励みになってきました。シンプルな承認欲求かも」

──その後も、映画やドラマでの出演が続いてきました。

「人に喜んでいただけることがうれしかったのと、さらに欲がなかったおかげで、かえって変なこだわりを持たずに続けられたのかなと。
アンフェア』(フジテレビ系)のスピンオフドラマ『アンフェア the special~ダブル・ミーニング 二重定義』で、寺島進さんとW主演をさせていただいたときに、寺島さんに一度だけ“私、この役者向いてないと思います”って言ったことがあります。でも寺島さんも“俺もだよ”って答えてくれました。“向いてるか向いてないかは、自分で決めることじゃない”って」