■今の戦争を見る、子どもたちの未来

「だけど今期、1人だけ、ニュータイプの芽になるような方が出てきたんじゃないのかなって思っています」

ーーそれはどなたですか?

「これは大ひんしゅくを買うと思うんだけど、今のウクライナのゼレンスキー大統領です。おそらく今回のプーチンの戦争は、ゼレンスキーが大統領になったおかげで引き起こされたんだと思っています。喜劇役者のゼレンスキーが大統領になったウクライナだから、“だったら取れるな”ってプーチン氏に思わせたのはゼレンスキー大統領なんです」

ーーそういう意味でしたか。

「だけど逆に言うと、喜劇役者だったゼレンスキー大統領が、プーチン氏が思う以上に抵抗をしている。今までの政治家とまるでタイプが違う。そういう人の質の違いみたいな部分っていうのは、ニュータイプの目線を考えるうえで大事なことなんです」

ーー富野さんはゼレンスキー大統領こそがニュータイプだとお考えなんでしょうか?

「そうではないんです。今の7、8歳から12、3歳までの子が、その年齢で、このプーチンの戦争というバカみたいな現実を見ているんです。つまり、今の子たちが30歳ぐらいになったときに、新しいレベルのニュータイプになっているかもしれないと思うわけです」

ーー今までとまるで違う現実だからこそ、変わる可能性があるとおっしゃる?

「現在30歳ぐらいまでの年齢の人たちが持っている戦争論というのは、結局20世紀までの戦争論なんです。だけど今回のプーチンの戦争は、どうも昔の戦争と違う。大部隊が進軍して、どこかに攻めてという図式はどこにもなくて、じゃあドローンが有効に戦争にとどめを刺しているかといえば、それも刺してもいなくて、戦争の様子とか様式がまるで違っています。
 このものすごく変な状況を見ている今10歳の彼らが、次の時代を背負っていくんですよ」