盆栽は高齢男性の趣味のひとつ。そのイメージはもはや過去のもの。近年は若い世代や海外で“BONSAI”ムーブメントが起きている。なぜ、世界中で盆栽が求められるのか。33歳のときに日本盆栽作風展・内閣総理大臣賞を最年少で受賞し、史上最多5度の同賞受賞歴を持つ盆栽作家の鈴木伸二さんに、すぐに役立つ盆栽を楽しむためのイロハから、盆栽に関わる驚くばかりのエピソードの数々を語っていただいた。【第2回/全3回】

日本を代表する盆栽作家のひとり、鈴木伸二さん。今風のちょい悪系のルックスに反し、その中身は癒やし系の植物男子だ。確かな技術に加え、穏やかで分け隔てのない性格に魅せられるセレブリティは少なくないようで、例えば世界的ロックバンド、モトリー・クルーのドラマーで、盆栽愛好家の一面を持つトミー・リー氏も鈴木さんのファンを公言する一人だ。
「2023年、トミー・リーさんが、僕の小布施の盆栽園まで、わざわざ足を運んでくださいました。ただ、僕は世情に疎いため、世界的なロックスターだとまったく知らなくて。至る所にタトゥーが入った外見に正直驚きましたが、“すごく盆栽がお好きなんだな”と感じ、園を案内するとすごく喜んでくれました。
トミーさんの公式SNSでは、僕をMr.Suzukiとして紹介してくれたので、それを見た知人から“その人、すごい方ですよ!”って、びっくりした様子で連絡が来ました。それでやっとトミーさんが有名人だと知ったんです。
彼はとても良い方で、“Kアリーナ横浜公演の一番いい席をご用意しますから、ぜひお越しください”と、ライブにご招待してくださったんです。でも、当時トミーさんもモトリー・クルーも知らなかったし、ハードロックをあまり聴いたことがなかったので、お断りしたんですよ。悪いことしちゃったかな……」