自身のもとから巣立っていった弟子たちが、またそれぞれの地で人々を魅了

「盆栽の修行は6年と、決して容易ではありません。でも、しっかりと身につければ特別な技能となりますから、世界で評価していただき安定した収入も得られます。僕のところから巣立った一人が、いまアメリカのポートランドを拠点に活躍していて、そこで建築家の隈研吾さんが携わった日本庭園で力を発揮したそうです。隈さんとお会いしたとき“現地にすごい盆栽を作る人がいるんですよ”と話してくださり、自分の弟子の仕事が認められて本当に誇らしかったです。
 彼は、自国で盆栽に関する著書を出し、多くの人が素晴らしいと評価してくれたそうです。僕は英語があまり得意じゃないから全部は分からないのですが(笑)、一カ所だけ “親愛なる鈴木伸二先生”と、日本語で記されていて、そこはしっかり伝わりました。嬉しかったです。僕が自分の師匠から言われた“いい盆栽といい弟子を残しなさい”という言葉に、少しでも報いることができるよう、もっともっと僕も頑張りたいですね」

 鈴木さんの真摯(しんし)な姿勢と温かな人柄が、多くの人を巻き込んでいく様子が見えるようだ。次回は、鈴木さんにとって最大の“THE CHANGE”について語っていただこうと思う。

鈴木伸二(すずき・しんじ)
盆栽作家。1962年12月27日生まれ、長野県出身。趣味は、盆栽美術品と美術館鑑賞、映画鑑賞。サムスン電子盆栽技術顧問、第8回世界盆栽大会in さいたま メインデモンストレーター、(一社)日本水石協会理事、(一財)京都国際文化振興財団理事