中山優馬が考える演劇の意義「社会的に訴えたいものが演劇になって、作品として伝えられていく」
──2014年の初演から11年ぶりの公演となる作品でもあります(初演の主演は前田公輝)。新宿歌舞伎町のホストクラブの人気ホストだった主人公・広夢(中山)が、あるきっかけから宮崎県で農家として働く伝説のホスト・文男(小出恵介)のもとで、農業の手伝いをすることで変化していきます。Rock Musicalとのことで、楽しさに期待がかかりますが、同時に、テーマの“食育”も、いまの時代により響きそうです。
「僕は演劇って社会と連動していくものだと思っています。社会的に訴えたいものが演劇になって、作品として伝えられていく。それが演劇の在り方だと思います。この作品は、より時代と合うなと思います。それってとてもいいことだと思いますし、本来の演劇の在り方だし、意義も感じます」
──とても日本的な言葉である、タイトルの「いただきます」にも惹(ひ)かれます。中山さんも、この3日に開かれた公開舞台稽古の際に、「いただきます」の言葉の意味に「少し思いをはせられるんじゃないか」とお話されていました。
「日本人なら食事のときに絶対に使いますよね。でもそこに必要以上に、意味なんて考えなくていいと思うんです。いちいち思いをはせていたら耐えられません。ただ、僕らの普段目の前にあるものには命があって、先人たちは感謝を持って、この言葉を生み出してきた。
それをこうしていまも受け継いでいる。そこに命があったんだということを、この舞台を見に来てくれた一瞬だけでも、改めてフォーカスできたら。その日の夜に使う“いただきます”だけでも、いつもとちょっと違うものにできれば。そんな思いでいます」