鬼龍院翔と出会ったのは高校三年生の頃
ベースからギターに転向したきっかけについて質問すると、「なんか、すごくお面白いですね。普段、あんまり音楽のこと訊かれることがないので……(笑)」と前置きしつつ、
「親の知り合いの楽器屋が閉店するとかで、そこで余ったギターをもらったんです。で、弾いてみたら“あれ? ギターの方が面白いな”ってことに気付いて(笑)。それから、今度はギターで『BE LOVED』を練習し始めたんです」
「ゴールデンボンバー」のボーカルを担当する鬼龍院翔と出会ったのは、高校三年生の頃だったという。
「正確にいつだったかは覚えていないんですけど、当時、中学時代の友達の家が僕と同じマンションにあって、そこが溜まり場みたいになっていました。その友達と同じ高校に通っていた鬼龍院がそこに遊びに来ていたんです。その出会いが最初でした。その時の第一印象は、なんか面白い奴だなって。会話にも小ボケを上手い感じでよく挟んでくるんですよ。ちょっと芸人気質みたいなところがあって、よくふざける奴だなって思っていました」
そして鬼龍院とバンドを組むことになったわけだが……。
「僕とその中学時代の同級生と鬼龍院と……他にもいたかな。何となく集まってダラダラしていたんですけど、“なんかモテたいよね”という、男が集まるとよくする会話をしていたんです(笑)。そのうち誰とはなしに、“モテるんだったらバンドじゃね?”って話になって“バンドやろう!”ということになったんです。それで、高校を卒業したらバンドをやろうということになったんですけど、鬼龍院は断ったんですよ、俺は芸人目指すからって。元々、面白いことが好きだったから、鬼龍院はNSCという吉本の養成所に行って一年で卒業したんですね。そうしたら、やっぱり芸人は無理だって諦めて。お笑いの次に好きだったのが音楽だったから、それでやっぱりバンドやろう……という流れになったんです」
当時、大学生だった喜矢武さんが鬼龍院を誘ったカタチになった。
「ある日、高校生の文化祭のビデオをみんなで見ることになったんです。そこでは体育館で軽音部とかのバンドが演奏する中で、ナゼか鬼龍院が一人で出てきたんです。バックにはCDを掛けてDIR EN GREYとか、ヴィジュアル系バンドの曲を歌っていたんです。しかも白衣とか着てちょっとメイクもしていて……。それだけでもブッ飛んでいると思いますけど、なんかヘンなことしているなって思っていたら、歌いながら急におもちゃのナイフを自分の腹に突き刺して、中から人間の腸に見立てた繋がったソーセージを引きずり出してきたんですよ。それ見て、なんかやべえ奴いるな~って思って。そこからですよ、やるなら、こいつとだなって思ったのは」
その後、2004年にゴールデンボンバーを結成。2009年にリリースした7枚目のシングル『女々しくて』が大ヒット。ミュージシャンとして活躍する傍ら、喜矢武さん自身は俳優としてのキャリアもスタートさせ、映画『死ガ二人ヲワカツマデ』(2012年)では主演を務めた。そして今年は、映画『死に損なった男』(2月21日公開)に出演する。
(つづく)
喜矢武豊(きゃん・ゆたか)
1985年3月15日生まれ、東京都出身。ヴィジュアル系エアバンド、ゴールデンボンバーのギターを務め、同バンドの代表曲『女々しくて』で紅白歌合戦に4回出場している。俳優やタレントとしても活躍しており、2012年『死ガ二人ヲワカツマデ…』で映画主演デビュー。2013年、ドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』でドラマ初出演。2015年には初舞台「ふしぎ遊戯」で主演の鬼宿を演じるなど、活躍の場を広げている。スポーツ・エンターテイメント番組「SASUKE」(TBS系)には2015年より計8回の出場を果たしている。今年は劇団☆新感線45周年興行・初夏公演「いのうえ歌舞伎【譚】Retrospective『紅鬼物語』」への出演が決まっている。公開待機作に『ザ・ゲスイドウズ』(2月28日公開)がある。
【作品情報】
映画『死に損なった男』
出演:水川かたまり(空気階段) 唐田えりか 喜矢武豊(ゴールデンボンバー) 堀未央奈 森岡龍 別府貴之(マルセイユ) 津田康平(マルセイユ) 山井祥子(エレガント人生) /正名僕蔵
監督・脚本:田中征爾
コント監修:板倉俊之(インパルス)
配給:クロックワークス
2月21日(金)より全国公開
(c) 2024「死に損なった男」製作委員会
公式サイト https://shinizokomovie.com/