息子・八代目市川新之助さんへの思いは?

 大名跡である「市川團十郎」襲名。その負荷は「楽しめるような自分であることが大事」と話す。「それは、意識して楽しむという気持ちに持っていっているんですか?」と尋ねるとシンプルな答えが返ってきた。

「そこは何も考えてないですよね。なるようになるし、なっていくその先に何を見るかということのほうが大事だと思っています」

 今回の團十郎襲名は息子、八代目市川新之助さんとの同時襲名公演だった。

「彼もちゃんとわかってる人間なんで、本当に自分が歌舞伎の道に進むべきか、というのも考えてると思います。私たちの時代は歌舞伎俳優になるという道が決まってるから絶対に進むっていう感じでしたけど。

 今は決まってるから進むわけじゃなくて、自分の目指すものがあるのであれば、そこに進めばいい。目指すものが歌舞伎だったら歌舞伎でいいけれど、そうじゃない場合は、よく考えて行動したほうがいいんじゃないかなと、そこに関しては寛容ですね。

市川團十郎 撮影/有坂政晴