伝統を守ることは「背骨」
だって、どう考えても、全く時代が違いますよね。もう皆様ご承知のようにここ数年で世の中が変わったので、“今あるものを守っていくことということが、本当に守ることなのか”といったことを判断する必要が出てくる。“守らないでいく”という勇気を持ちながら“守る”という選択肢も出てくる。幅を広げて見ないといけないと思っています」
それは面白いことでもありますけど、大変な時代ではありますね、と問いかけると「全然(大変ではなく)面白いんじゃない?」と軽やかに返してくださる團十郎さん。
「伝統を守っていくというのは基本的には背骨ですよね。絶対にやらなくちゃいけないし、そのマナーというかルールを守らない人はアウトですよ。だけど伝統を守った上で新たなものを打ち出していくというのが今の最低スキルになってきたという感じはしますよね。古典がしっかりできて、それで新しいことができる、これは重要な要素。そういうことができる人って実は数少ないんです」
襲名が大きな“CHANGE”であろうという想像で問いかけたところ、それ自体は“CHANGE”ではないと返してくださった團十郎さん。むしろここからだ、と。
「襲名って名前が“CHANGE”しただけじゃないですかね。ここからどういうものを打ち出していけるか。この時代の中でそこに“CHANGE”はあると思いますよ」
いちかわ・だんじゅうろう
1977年12月6日生。父は十二代目市川團十郎。85年5月に七代目市川新之助を襲名。03年に、NHKの大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』で主演を務めた。04年5月に十一代目市川海老蔵を襲名、海外公演も精力的に行い、パリやニューヨーク、ロンドンなど各地で好評を博す。22年11月に十三代目 市川團十郎 白猿を襲名し、24年10月まで襲名披露興行が行われた。
JAPAN THEATER『SEIMEI』
Supported by 飯田グループホールディングス
【出演】市川團十郎 嶋﨑斗亜(Lil かんさい) 他
【大阪】2月19日(水)~2月24日(月・祝)
【東京】3月1日(土)~3月23日(日)
公式サイト:https://japantheater.com/