インスタグラムのDMでモデルの誘いを受けた

「フォトグラファーの方から、“モデルをしませんか?”とメッセージをいただいたんです」

「幼少期から人前に立つことが大好きで、芸能人になりたいという夢があった」というウンジさんは、初めての意外なオファーにびっくりしつつも、相手がきちんとカメラマンとして仕事していることと、日本のグラビアを意識した写真をインスタグラムに投稿していたことを確認すると、OKの返事をした。

「彼のスタジオに行き、まずはテスト撮影をしました。事前に日本のグラビアの撮影スタイルを模した彼の作品を拝見していて、“かわいい!”と思っていたので、私も一度でいいからこんなふうに写真を撮ってくれたらうれしいなあと思い、トライしました。衣装は学校の制服でした」

 初めての経験ゆえ「ポーズや表情など、どう表現していいかわからなくて、とりあえずやってみたらなんとかなった」と笑うウンジさんは、この時間、終始興奮していたという。
 撮影データをもらうと、後日、自身のインスタグラムにアップした。とたんに通知が鳴り止まず、数えきれないほどの「いいね」がついたというのだ。

 それから、インスタグラムのフォロワー数増加にともない、周囲の反対を振り切り会社を辞めた。自分のやりたかったことにようやく出会え、押し殺してまで会社で働く意義を見いだせなかったからだ。年齢は20代後半に差し掛かっていたが、かまわなかった。

 そんな中、女性を被写体とした写真について研究するうちに「グラビアの文化は、日本にしかない」ことを知ることになる。ウンジさんは日本独特のグラビア文化について、フォトエッセイ『もっと前へ、そして「その先」へーー』で、

<日本のグラビアは水着を着たり、セクシーな衣装を着ているけれどいやらしさはなく、モデルや写真家の個性がしっかり伝わるような表現の力がすごく高くて、写真家やスタッフの腕の見せどころなのだろうなと思いました>

 という認識を綴り、だからこそ<モデルさんを性的に消費するのではなくリスペクトする文化が育っているのだろう>と心惹かれたと続けている。