1955年、高校3年生でデビューして以来『へび少女』『まことちゃん』『漂流教室』など、数々の名作を残してきた楳図かずおさん。95年発表の『14歳』以来、長く休筆していたが、22年に開催された『楳図かずお大美術展』で、『わたしは真悟』の続編となる『ZOKU-SHINGO』を発表し、大きな反響を呼んだ。実に68年に及ぶ楳図さんの作家人生、その間にはどんな「CHANGE」があったのだろうか。【第4回/全5回】

楳図かずお 撮影/冨田望

 1972年に『漂流教室』、76年に『まことちゃん』、82年に『わたしは真悟』、86年に『神の左手悪魔の右手』、90年に『14歳』を発表した楳図かずおさん。SF大作からホラー、ギャグと多彩な才能を発揮したが、『14歳』が終了した95年から休筆してしまう。長年の執筆による腱鞘炎など、肉体的な疲労が主な理由だった。

 しかし、22年、『楳図かずお大美術展』で『わたしは真悟』(小学館)の続編となる『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』を発表。実に27年ぶりとなる新作を描くきっかけは、なんだったのだろうか?

「周りの環境に反応してやった、ということです。新作を描く気持ちはあったんですが、普通にやると紙の印刷物になるでしょ。僕の中でそれは新しくないよな、という気持ちがあったんです。今までやっていなくて、新しい形でやりたかった。」

 そうすると、展覧会で作品を発表するというのは、表現方法としては元に戻りすぎているぐらいで、それを漫画でやるというのは新しいぞと思っていたんです。そういうときに、展覧会の話が来たんですね」

『ZOKU-SHINGO』は101点の絵画による連作。漫画であって漫画ではない、新しい表現物となっている。ここまで意欲的な作品に取り掛かるには、展覧会の開催以外にも、きっかけがあった。