1955年、高校3年生でデビューして以来『へび少女』『まことちゃん』『漂流教室』など、数々の名作を残してきた楳図かずおさん。95年発表の『14歳』以来、長く休筆していたが、22年に開催された『楳図かずお大美術展』で、『わたしは真悟』の続編となる『ZOKU-SHINGO』を発表し、大きな反響を呼んだ。実に68年に及ぶ楳図さんの作家人生、その間にはどんな「CHANGE」があったのだろうか。【第5回/全5回】

楳図かずお 撮影/冨田望

 楳図かずおさんは、長年の漫画界への貢献と、『楳図かずお大美術展』で発表した新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』で、2023年の手塚治虫文化賞特別賞を受賞。その贈呈式でのインタビューで「きっといつか運命的な大波がくると言っているんですけど、大波が来るのを心待ちにしているところです」と発言して、話題になった。

 1955年に漫画家デビューしてから今年で68年。今も精力的に創作を続けている楳図さんにとっての「大波」とは?

「間違いなく大きな波が来ますね。それは僕自身に来ます。僕は3つの秘密があるって言っていたんですよ。1つは今回の展覧会で出しました。残り2つのうち1つは、間違いなく実現します。僕の今までの流れで考えていることは本当になっているので。もう1つは……まだなんとも言えないですね。その残りの2つはお楽しみということにしておいてください」

 秘密である以上、言えることではないだろう。だが「僕の考えていることは本当になっている」という言葉は確かだ。SF大作の『わたしは真悟』(1982~1986)では、機械が知能を持つこと、ネットワークでコンピューターがつながることが予言されていた。どうして、このような作品を描くことができたのだろうか。