楳図かずおさんにとって「変わること」とは?

 最後に、楳図さんに「CHANGE」「変わる」という言葉のイメージを聞いてみた。

「それはやっぱり、変身願望ですね」

 なんとも、あっさりした答えだった。外からの影響を排除し、自分のオリジナルを突き詰めてきた楳図さんにとって、「変わる」ということは考えたことがないのかもしれない。

楳図かずお 撮影/冨田望

「自分自身を変えるということは、やっていないので。僕は変わらないことこそ、大変にエネルギーがいることだと思っています。ロックンロールは好きですけど、転がらない石、転がっていかないロックンロールは、すごいと思いますよ。変わるってことは、本当に変わるだけだから、別にどうということはないんじゃないでしょうか」

 1955年にデビューしてから、楳図さんは変わっていない。変わったのは時代やまわりの状況のほうなのだろう。そんな楳図さんが予言する「大きな波」を、楽しみに待つことにしよう。

■楳図かずお(うめず・かずお)
1936年生まれ。和歌山県で生まれ、奈良県で育つ。小学校4年生で漫画を描き始め、高校3年生のときにデビュー。『へび少女』などのヒットにより、ホラー漫画の第一人者となる。一方で『まことちゃん』などのギャグ漫画を手掛け、『漂流教室』では、小学館漫画賞を受賞。ほかにも『おろち』『わたしは真悟』『神の左手悪魔の右手』『14歳』などヒット作を連発。タレント、歌手、映画監督としても活躍し、18年『わたしは真悟』で仏・アングレーム国際漫画祭「遺産賞」を受賞。23年手塚治虫文化賞特別賞を受賞している。
■楳図かずお大美術展ーマンガと芸術の大転換点ー
開催期間=2023年6月10日(土)~8月6日(日)
開館時間=10:00~17:00(最終入場は平常時間の30分前)会期中無休
会場=テレピアホール
住所=愛知県名古屋市東区東桜1-14-25 テレピア2F
チケット=前売り券:一般1400円 中高生700円・当日券:一般1600円 中高生800円