ゴリの芸名で1995年にお笑いコンビ「ガレッジセール」を結成した照屋年之さん。2006年から映画監督のキャリアをスタートし、最新作『かなさんどー』も公開された。彼のTHE CHANGEとはーー。【第1回/全2回】

照屋年之 撮影/貴田茂和

 1972年、本土復帰の年に沖縄で生まれました。今でこそ沖縄への思いは強いですが、子どもの頃はとにかく早く東京に出たくてしかたなかったです。テレビから伝わってくる東京はなんでも進んでいてキラキラしていて、楽しそうに見えた。だから大学の4年間ぐらいは東京で過ごしてみたくて、日本大学芸術学部映画学科に入ったんです。大卒資格があれば沖縄でもいいところに就職できるだろうなと思って。芸能界に入るなんて思ってもみませんでした。

 だけど大学3年生のとき、お笑いの世界に飛び込もうと思ったんです。学校でいちばん面白いヤツではなかったし、コントや漫才を書いたこともなくて、仲の良い友達を笑わせるのが好きだった程度でした。でもお笑いには興味があって、「面白いから芸人になったら?」って言ってくれる友達もいた。それで「一度しかない人生、後悔したくないな」と思って大学を辞めて挑戦することにしました。

 ただ、当時できたばかりの東京NSC(吉本総合学院。芸人の養成所)に入ろうと思ったら、入学申し込みの〆切が過ぎていて。だから渋谷公園通り劇場に一人で乗り込んで「芸人になりたいんです」と直談判しました。当然断られたけど諦められなくて、壁に貼ってあった「ボランティアスタッフ募集」のポスターを指して「これ、やらせてください。その代わり、本番中は先輩のネタを見て勉強させてください」って頼み込んだんです。