東京音楽大学進学後に声楽科へ転向
東京音楽大学に入学するときに、声楽に転向。声楽演奏家コースでクラシックの歌唱を本格的に学び、大学院へ進んだ。
大学時代に、アルバイト先として選んだのは、児童館。指導補助として子どもたちと過ごすうちに、音楽で子どもたちと関わる仕事に就きたいと思うようになった。
「卒業を控えたあるとき、大学院の先生から『うたのおねえさん』のオーディションを受けてみないか、と声をかけていただいたんです」

『おかあさんといっしょ』の「うたのおねえさん」、それはまさしく、音楽で子どもたちと関わる仕事。
「もちろんわたしも子どものときに毎日観ていた番組ですし、あまりにも雲の上の存在すぎて、“やってみたい”と思うことすら恐れ多いというのが、当時の正直な気持ちでした」
「うたのおねえさん」は、それほど頻繁に替わるわけではない。20代の「たくみおねえさん」が8年間、19代「しょうこおねえさん」は5年間と、オーディション自体が滅多にないのだ。
進路について考えていたときにそのタイミングがやってきたのは、奇跡というか、運命だったというしかない。
もちろん、オーディションには合格し、ドキドキの初収録がやってきた。
「リハーサルのときから頭が真っ白になってアタフタしてしまい、本当にわたしにできるんだろうか……と不安でいっぱい。本番は無我夢中であっという間の1日でした」
2016年4月、「あつこおねえさん」が全国の子どもたちの前に登場。
愛らしいルックスと明るいキャラクターで、子どもたちはもちろんのこと、お父さんお母さんたちにとっても大人気になった。
「わたしが生まれるずっと前から、65年間も続いている番組ですので、そこで培われてきた番組の作り方……たとえば、どんなふうに子どもたちと接したら笑顔になってくれるのかとか、どんな歌い方をしたらみんなも歌いたくなるのか、ひとつひとつ経験していくのは、何物にも替えがたい時間でした」
番組を卒業後も大好きな音楽と子どもに関わる活動を続け、それが今回の映画しまじろう『しまじろうと ゆうきのうた』での主題歌と、声優へとつながっていった。
(つづく)
小野あつこ(おの あつこ)
1991年12月12日生まれ。東京都出身。4歳からピアノを始め、都立芸術高等学校音楽科、東京音楽大学音楽学部声楽専攻、同大学院で音楽を学ぶ。大学院卒業と同時にNHK『おかあさんといっしょ』第21代「うたのおねえさん」として2016年4月から6年間出演。卒業後は、コンサートやイベントなどで子ども向けの活動を続けている。
●作品情報
映画しまじろう『しまじろうと ゆうきのうた』
3月14日(金)全国ロードショー
声の出演:南央美 高橋美紀 山崎たくみ 鈴木真仁 稲葉実
ゲスト声優:ファイルーズあい 山寺宏一 岡村明美 山里亮太(南海キャンディーズ)
主題歌:「ゆうきのうた」小野あつこ
公式サイト: https://kocha.benesse.ne.jp/kodomo/open/movie/2025/