SNSの時代が来たと強く実感をした

 街宣をやったら多くの人たちがユーチューブから石丸の動きに興味を持ってきてくれた。たくさんのユーチューバーもライブ配信をしていて、そのリアルタイム視聴者数は全部足し合わせると20万人もいる。

 これは地殻変動が起きると思いました。実際に選挙戦をやりながら、SNSの時代が来たと強く実感をしたのはこのときが初めてです。その後の選挙でもこの流れは変わりませんでした。昨年9月の自民党総裁選では高市早苗元総務大臣の手伝いをしました。このときも、石丸選挙で生まれたSNS部隊を引き連れて、候補者の人柄を引き出す発信をたくさんしたのですが、それが大きく広がって党員票では1位になることができた。翌月に行われた衆院選では国民民主党の玉木雄一郎代表から相談を受け、石丸選挙の導線を真似たところ21議席増と大躍進を見せたわけです。

 しかし、SNS選挙には、有権者が盛り上がりに影響を受けすぎて、政策を見ずに判断してしまう、扇動的な側面もあります。石丸も「大衆の9割は政策ではなくて人柄で選ぶ」と言って、街宣では政策を語らず自己紹介を繰り返しました。活字文化が廃れる中で、真剣な議論ができなくなる怖さがSNSにはあります。

 それでも、今の選挙において合理的で効果的なのは否めない。そうした中で、私がこれからの時代を担う政治家にしてあげられるのは、本人が選挙で十分に力を発揮できる舞台を整えることだと思っています。これからの日本を良くするために、私は政治家にどんな支援ができるのか、これまでの経験をもとに力を尽くしたいと考えています。

 この記事の取材は2024年11月20日に行われました。謹んで藤川晋之助さんのご冥福をお祈りいたします。

藤川晋之助(ふじかわ・しんのすけ)
1953年、大阪府生まれ。23歳から代議士秘書、大阪市会議員、政策担当秘書、政治アナリスト、選挙プランナー、政党事務局長などを歴任。政官、マスコミにも幅広い人脈を持ち、高い勝率を誇ることから永田町内では“選挙の神様”とも呼ばれる。タレントのデヴィ夫人を代表とし、2月12日に立ち上げが明らかになった政治団体『12(ワンニャン)平和党』の選挙対策委員長に就任した。